1プロローグ

メイフラワー号のプリマス上陸から350年
 一九七一年十二月十八日。
 この日は文鮮明師が世界宣教本部をアメリカに移すためにアメリカに上陸した日である。
 私はこの日の文先生のアメリカ上陸を、かつてヨーロッパの清教徒たち(ピューリタ上が新天地を求めて大西洋を渡り、この広大な大陸に到着したメイフラワー号の上陸二六二〇年)になぞらえる。
 メイフラワー号がプリマスに上陸した日は、新天地を開拓するアメリカ大陸の新しい歴史が始まった日である。
ただ、清教徒たちはヨーロッパから大西洋を渡って来たが、文鮮明先生はアジアから太平洋を渡って来たという点が違うと言える。
 そして清教徒たちは、遠からず来られる主(メシヤ、救世主) の降臨に備えるべく新しいキリスト教国家創建のために来たのであるが、今回は天の時が満ちて、待ちに待った再臨主という主人公がアメリカのキリスト教選民の基台の上に地上天国を建設しに来られたのである。
主が選民を尋ねて来られたのである。



世界の首都ワシントンDCに入城
  フンントンーナショナル空港に降り立った文鮮明先生を、私は精誠を尽くして迎えた。
私か外交官として米国ワシントンDCに来てから、ちょうど十年後のことである。
 この十年間、アメリカで再臨主の”先遣隊”として歩んできたものの、まだまだ十分に文先生をお迎えする社会的・国家的準備を整えることができないまま、歴史上最も尊い方をお迎えせねばならなかったことが、私の胸の痛みであった。
「わたし(主)は盗人のように来るであろう」(黙示録三章三即)という聖書のみ言は、このようなことを意味するのかもしれない。
  そこにたった一つだけ慰めがあった。
それは、韓国少年少女芸術団「リトルエンジェルス」が、折しもケネディセンター公演のためにワシントンに来ており、その日はリトルエンジェルスの創始者を出迎えるため、皆一緒に空港に来ていたことであった。
エンジェルスのメンバーは、天から来られる方をお迎えするのに最もふさわしい純粋 1無垢な子供たちであった。
 タラップを降りて来られる先生を、清く澄んだ合唱「うれしい。救い主か来られた!」でお迎えし、幼子の紅葉のような手で花束が贈呈されのである。
先生は破顔大笑でこの予期せぬ幼い天使たちの出迎えを喜ばれた。
 文先生はいまやアメリカ合衆国の首都、いや世界の首都ワシットッDCに入城されたのである。
 その日の晩、ケネディセンター・オペラホールにおいて、アメリカの政界、外交界その他の著名人士たちが雲のように集まった中で、リトルエッジェルスの大祝祭公演が開催された。
その中央貴賓席に文鮮明先生一行をお迎えしたのである。
これはあたかも天のお客様、文鮮明先生を歓迎する大会という気分であった。
述部議会議員だけでも百名以上が家族とともに参席し、当時世界的な名声のあった。
J・W・フルブライト議示をはじめとする著名な上院議員が数名、レアード国防長官を始めとする長官級人士が数名、そして外交界からは大使だけでもほぼ尺か濃くの大使が参席する、ワシントンでもまれに見る空前の盛況となった。

 二千二百席が売り切れたリトルエンジェルスの公演は、韓国にとっても華々しい文化外交の勝利を意味するものであった。
 リトルエンジェルスの招待公演行事は、象徴的に見れば、文鮮明先生がアメリカに上陸されたこの日を天が祝福する歓迎の宴である。
だからこそ、天はアメリカ朝野の綺羅星のごとき人物たちを一堂に集められたのである。
この日の晩の公演はこれらの特別な観衆に深い感銘を与えた。
 ある見方をすれば、この公演は文鮮明先生がホストとしての立場から、「私か小さい天使たちを贈り物として連れて来たので、さあ皆さん、大いに楽しんでください」と語り掛けているとも言える。
その日の公演が、真に平和と天国を象徴する千供たち、リトルエンジェルスの舞踊と合唱であるというところに、私は非常に大きな意義を感じた。
 場内が子供たちの踊りと歌に魅了され、拍手と喝采が乱舞する中で、雰囲気は最高潮へと駆け上がった。
最後の合唱プログラムでは、上品なアメリカの高級紳士たちが、自分の身分をすっかり忘れて「アンコールー」を連発する。
子供たちは習った曲目をすべて歌い尽くしてしまったのに、引き続きアンコールの声が沸き上がるので、皆汗をかきながら、韓国の「アリラン」とアメリカの「神よ、アメリ
カを祝福し給え」を繰り返し歌うほかなかった。
そして最後のGod Bless Americaは、全聴衆が一緒に立ち上がって歌うという前例のない大合唱となり、客席は異様なほどの興奮に包まれた。
 最後に私は舞台の上に出て行った。
そして客席に向かってこのように告げた。

 「紳士淑女の皆様。私はリトルエンジェルスの創始者、文鮮明先生を皆様にご紹介できることを光栄に思います。
先生はちょうど本日、ワシントンに到着なさいました。
私とともに歓迎の拍手をお送りくださいますようお願い致します」
 この言葉を聞いた聴衆は一斉に起立して万雷の拍手をし、後ろの二階バルコニーの貴賓席を見上げた。
文鮮明先生はにっこり微笑んで起立され、拍手に手を挙げて応えられた。
その瞬間、ホール内は壇上と客席が一つとなって、一層大きな拍手が沸き上がった。
人々はかくも美しい”平和の天使”を創られたその方に、感嘆と称賛の眼差しで惜しみない賛美を送ったのである。
 たとえ「リトルエンジェルスの創始者」という紹介しかできなかったとしても、天から見れば、アメリカ朝野の文武百官が、来られた主を初めて迎え、象徴的に歓迎する瞬間であった。





TOP